こんにちは ケアマネのみざいです。
今日はレビー小体型認知症について書きます。
1.レビー小体型認知症とは
初老期から老年期に発症する認知症です。レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い認知症です。血管性認知症と共に三大認知症と言われります。
レビー正体型認知症はかつてはパーキンソン病と考えられていましたが小阪憲司という医師によって発見され、診断基準が確立されました。(1996年)女性より男性に発症が多い傾向があります。
主な症状としては認知機能の変動、幻視、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害があります。
初期症状として手の震えなどのパーキンソン症状が認められます。レビー小体型認知症では記憶をつかさどる側頭葉や視覚認知を担う後頭葉が障害されるるため、幻視や幻覚を共なうことが多くなります。レビー小体型認知症は75歳から80歳の高齢者に多くみられます。
他症状は運動緩慢であり日常生活に支障をきたす要因にもなると考えられます。運動緩慢は加齢によるものと区別がつきにくい時がありますのでおかしいと思ったら早期に受診し早期治療することが大切です。
原因
レビー小体型認知症はレビー正体という細胞が脳の大脳皮質や脳幹部に生じてその影響で脳神経細胞が破壊されて認知症になります。しかしなぜレビー正体が生じるかは分かっていません。他の認知症と比較しても進行が早いのが特徴です。
レビー小体が主に脳幹に現れた場合、パーキンソン病と診断されいます。レビー小体型認知症とパーキンソン病はよく似た症状です。レビー小体型認知症は大脳皮質に集まります。
パーキンソン症候群を併発することも多くみられます。発症は高齢者が多いですが若い時にパーキンソン症候群を発症し、レビー小体型認知症になっていくこともあります。
2.主な症状
レビー小体型認知症は記憶障害の他に特徴的な症状があります。
認知機能の変動意識がはっきりしている時と 反応が乏しくぼんやしている時があります。認知機能が変動するのが特徴的です。この変動は週週間から何時間と決まっていません。
認知機能の障害は時間、場所や会話の理解力の低下があり良いと気と悪い時のムラがあります。
幻覚:幻覚の中でも幻視が最も多くみられます。幻視とは他の人には見えない物が見えます。子供が部屋にいているや虫が壁をはっているなどがありかなり具体的に訴えることが多いです。
※レビー小体型の場合検査により後頭葉に血流が少なくなっていることが多く。後頭葉と視覚は関係が深いため、幻視を見るのではないかと考えられています。
幻聴:幻視ほど多くはありませんが幻聴の症状も訴えることがあります。人には聞こえない声が聞こえています。子供の笑い声や足音などが聞けるようです。
アルツハイマー型認知症であっても幻覚等の訴えはありますが、レビー小体型認知症ほど訴えることはなくこの症状でレビー小体型認知症と区別くることができます。
妄想:妄想は被害妄想や誤認妄想が出現する場合があります。誰かにお金を盗られた、家族が偽者である、妻、夫が浮気している、テレビやメディアの内容が現実と区別がつかない、鏡に映った自分が別人と感じるなどがあります。
パーキンソン病症状:パーキンソン病に似た運度の障害です。手足の震えや体が硬直するなどし動きにくいなどの症状が現れます。体が動きにくくなるため転倒のリスクも高くなります。転倒した場合骨折や寝たきりとなるケースも多くなります。症状が進行すると嚥下障害もみられ誤嚥性肺炎になるリスクも上がります。
レム睡眠行動異常症(RBD):人の眠りには、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」があります。レビー小体型認知症の方はレム睡眠中に、夢を見て現実のように声を出して話す、大声で叫ぶ、腕や足を動かすなど起きているような動きをします。
自律神経症状:トイレに行ってもまたすぐに行きたくなり尿回数が増える(頻尿)、尿が漏れる(尿失禁)といった症状がみられます。起立時の立ちくらみ、めまい(起立性低血圧)がみられます。立ちくらみやめまいにより転倒して大きな怪我につながるため注意が必要です。
3.症状の段階
3-1.初期の症状
初期から認知機能の低下がみられることは少なく以下のような症状が見られることがあります。
- 手足がふるえる(振戦)
- 動きが遅くなる(無動)
- 筋肉が硬くなる(固縮)
- 歩幅が小さくなり、歩き始めの足が出しづらくなる一方、歩行し始めると突進してしまう
幻視
視覚を司る後頭葉が障害を受け、存在しないものが見えてしまう症状です。
例)部屋に知らない人がいる、壁が虫がはっているなど
レム睡眠障害
一般的に睡眠は、脳が熟睡するといわれる深いノンレム睡眠と、夢を見ているといわれる浅いレム睡眠が交代して表れます。
レム睡眠時に大声を出す、暴れるなど、起きているような行動がみられることがあります。
自律神経症状
自律神経のバランスが崩れ、立ちくらみや寝汗、頻尿や便秘、動悸やだるさなど、多様な身体の不調が生じてきます。このような症状に周囲が困惑する時期でもあります。
3-2.中期の症状
改善と悪化の波を繰り返しながら、徐々に初期症状より症状が強まっていきます。また、記憶障害や見当識障害など、認知機能の低下もみられはじめます。このころから認知機能障害の進行が早まってきます。
認知機能、意識レベルの変動
日によって調子の波が大きく、一日のうちでも変動し、原因は分かっていませんが特に夕方に悪化する傾向があります。自律神経症状も加わり、夕方や寝る前に幻視を頻繁にみることもよくあります。
抗精神病薬薬剤への過敏性
認知機能の低下に対する抗認知症薬やパーキンソン症状に対する抗パーキンソン薬などの治療が行われますが、人により薬の副作用が強く出ることもあります。
3-3.後期の症状
パーキンソン症状が強くなり、歩行状態が不安定になり転倒や転落などの危険性があります。
ふらつきや立ちくらみにも注意が必要で、身体介護の必要な場面が増えてきます。飲み込む嚥下機能の低下も生じやすく、むせて誤嚥性肺炎を引き起こす可能性も高まりるのと自分で食事をとれなくなってきますので介助が必要になります。
また歩行ができなくなり移動は車椅子介助になる場合が多くあります。
食事には介助が必要で排泄の感覚無いので失禁するためトイレ介助、おむつ交換が必要になります。
4.誤診されやすい病気
パーキンソン病
レビー小体型認知症とパーキンソン病の症状があるのに、パーキンソン病だけが診断される。
うつ病
他の認知症もそうですが、ぼんやりとしているなどの意識レベルの低下や変動からうつ病を診断される。
アルツハイマー型認知症
記憶の低下や失語によりアルツハイマー型認知症に誤診される。
上記のような診断が誤診の場合、適切な対応が遅れるため認知症専門の病院で受診をするようにしましょう。
5.本人への対応
幻視、幻覚、幻聴がハッキリと現れる事が多くそれにより本人も混乱することがあるため「そんなもの見えない」や「聞こえない」など全否定するのではなく、一旦は認め今はいなくなったのでは?とか大丈夫?と優しく声をかける事で落ち着かれます。見えるというのは本人にとっては事実なので否定されると何も分かってくれないとだんだん引きこもり症状の悪化も早くなることもあります。アルツハイマー型認知症より進行は早く進むのでその時々の対応が必要です。昨日できていたことが今日はできないなど急に進むことで驚かれる事が年数をますごとに増えますが、悲観せず今できることに目を向けましょう。今日できないことが明日にはできていることもあります。悩んだり、どうしていいか分からないときは介護職やケアマネジャーに相談してみましょう。
6.まとめ
アルツハイマー型認知症より発症する比率は少ないですが認知症全体の15%程度の割合で発症しています。特に症状は幻視、幻覚が初期の頃から顕著に現れるためアルツハイマー型認知症との区別ができます。初期段階では認知機能は保たれていることが多いので記憶等は比較的保たれています。ただ進行は早く悪くなると一気に状態が進んでいく場合あるため、何かおかしいと思ったら受診をすることをお勧めします。専門医でないと割と軽く診られる事があり、治療が遅れる場合がありますので認知症の専門医に診てもらうようにしましょう。判断に迷う場合は地域包括支援センターに相談してみるのもいいです。
それではこのへんで