こんにちは ケアマネのみざいです。
今日は脳血管性認知症について書きます。
1.脳血管性認知症について
1-1.脳血管性認知症とは
認知症状態になる病気のうち、約15%〜20%を占めるとされています。
脳血管性認知症とは脳梗塞や脳出血など、脳血管の障害で起きる認知症のことを指します。
脳梗塞では、脳の血管が詰まって血流が悪くなり、その周りの神経細胞が死んでしまいます。
アルツハイマー型認知症は徐々に脳が縮んでいくので、症状も徐々に進んでいく傾向にあります。一方血管性認知症の場合は脳梗塞や脳出血などによる脳に出血が起きるたびに症状が強まりますので、脳のダメージを負った箇所に症状が進んでいくことがあります。
ダメージを受ける部位によって症状が異なりますが、小さな脳梗塞がたくさん積み重なって起こる場合もあれば、認知機能にとって重要な部位に小さなダメージが起こることだけで認知症になってしまう場合もあります。
脳梗塞や脳出血・脳の細い血管がつまるラクナ梗塞など、脳の血管の病気によって引き起こされます。血管が詰まり血流が不足している領域の神経細胞の機能が失われたり、出血によってたまった血液に脳が圧迫されることで、さまざまな症状が現れます。
脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症に比べて男性の割合が高く女性の2倍近く有病率のデーターが示されています。
脳血管障害は若い世代にも発症あり認知症というより高次機能障害と診断される場合もあります。高次機能障害は認知症より回復の見込みが高いといわれています。症状はほぼ同じ症状が出現します。
1-2.脳血管性認知症が起こる原因
60歳~70歳台の男性に多い傾向があります。最新の調査によると、65歳未満で発症する若年性認知症においても、アルツハイマー型認知症に次いで多い原因疾患となっています。
血管性認知症は脳梗塞や脳出血によって引き起こされます。危険因子として高血圧や糖尿病、脂質異常症といった基礎疾患、ストレスや喫煙、肥満、メタボリックシンドローム、大量の飲酒などの脳卒中の危険因子は、血管性認知症の発症リスクを高めるといえます。脳血管性認知症認知症は生活習慣によって引き起こされる事が多いです。ただ全てが認知症の引き金になるわけではありません。脳のダメージを受けた箇所や脳梗塞の出血の頻度によっても変わってきます。それも人それぞれ違う症状があります。
どのような症状があるのか
脳梗塞など脳血管障害を起こしたあとは、認知症の症状が急に現れない良くなったり悪くなったりを繰り返します。脳梗塞は再発することも多く繰り返すたびに状態も悪くなっていく傾向が高く、小さな脳梗塞を繰り返すたびに認知症の症状が出てくることもあります。
症状は、脳の障害を受けた場所により異なる 下記は主な症状です。
- 手足の麻痺
- 言語の障害
- 失語症
- 飲み込みの障害
- 排尿障害
- 感情失禁
- 夜間のせん妄
- 抑うつ
などさまざまです。日時やタイミングによってできることできない事の差が大きのも特徴的でまだら認知症とも呼ばれています。
(脳の細胞が壊れた部分は機能低下するが、正常な部位の脳細胞は機能しているため)
混合型認知症の場合もある
アルツハイマー型認知症の方に脳梗塞などの血管障害がある場合、脳血管性認知症を併発しているケースもあります。これが混合型認知症と呼ばれるものです。
症状に対して本人の自覚も強い
本人は症状について自覚をしている事が多く抑うつや怒り、投げやりな態度になりやすく自分の病識もあるため本人は悲しみや歯がゆさを強く感じています。また病気により感情のコントロールができなくて怒りを表に出してしまうこともあります。(感情失禁)
他にも感情失禁としては泣いたり怒ったりといった感情の起伏が激しく、機嫌が良くても急に怒り出す場合もあります。1日の中でもその変動があるのが特徴です。
2.症状の経過
2-1.初期症状
治療が一段落すると、物忘れなどの症状がみられはじめます。
本人や家族もそれに気づくきますが症状に波があるのと後遺症から生じるものと思い認知症になっているとは思わずに症状の発見が遅れる傾向になります。
失行
運動機能に異常がないのに簡単な日常動作ができなくなることがります。
- ズボンを下ろす
- ボタンをする
- 袖を通す
失認
目や耳は異常がないが相手の話している内容やいつも見ているものが何か分からなくなる事
- 料理が残っているのに食事を終えたと思ってしまう。
- 相手が誰だか分からない。
- ハサミを見てもハサミと認識できない、触ってみてハサミとわかる場合もある。
失語
- 相手の話していることは理解できるが、自分が話すときに言葉が出てこないや文字が書けないなど。
- 相手の話をしていることが分からないこともある。
- 口や舌に麻痺がないのに言葉がたどたどしくなる、ろれつがまわらない。
この頃は本人は理解されていないことにいらだち・混乱・不安を覚え家族はなぜできないのかと理解できない事が多くお互いに苦しむ事が多くなる時期です。
2-2.中期症状
症状が安定してくる頃で、脳血管障害の再発が起きなければ急激な悪化をある程度防げる事ができるのが脳血管性認知症の特徴です。
リハビリテーションの実施や外部との交流を持つ事が重要です。ただ脳梗塞を再発ことも多く繰り返すことがあるため無理な運動等はさせるようにしましょう。
麻痺等があると飲み込みにも支障があるのと転倒に注意が必要です。飲み込みに支障がある場合は誤嚥性肺炎に気をつける必要があります。肺炎により入院となると認知症状が進む場合もあります。転倒は麻痺があるため体を支えることや受け身が取れない事が多いので骨折や頭部打撲等の怪我の恐れが高まりますので福祉用具などよういて転倒の予防に努めましょう。
2-3.末期症状
アルツハイマー型認知症のような10年ぐらいという目安はありませんが、脳梗塞を繰り返すこと加齢によりアルツハイマー型認知症に近い経過をただる方が多くいます。
診断
脳血管障害発生後に脳のCTやMRIによる画像診断で障害の場所を把握します。脳の障害を受けた部位により認知症状が発症したときに診断が下されます。
治療
脳の死滅した細胞をよみがえらせることはできません。そのため根本的治療はなく完治はできませんが、脳は隣接した箇所が代わりに障害を受けた場所の機能を果たすこともあると分かってきています。機能回復する可能性もあります。
医師の指示のもと早期にリハビリテーションに取り組みましょう。脳が活性化し、症状や進行を緩やかにする事が期待できます。血圧や血糖のコントロールを医療の継続も大切です(薬の服用や定期受診)。生活習慣としては食事の管理も重要です。
ただ過度の食事制限やリハビリテーションは本人もやる気がなくなる可能性もあり十分に話し合いながら行い、無理にするのではなく本人が自発的に取り組めるようにしょう。
対応方法
脳血管性認知症の人にとって、身体の麻痺は転倒の危険が高く環境整備が大切です。そのため福祉用具の活用や設置により、本人に合った住環境を整ええることは非常に大切です。福祉用具により本人のできることを引き出し自立支援や家族の介護負担の軽減につながります。
対応のポイント
- 能力のアンバランスを理解する。
- 感情失禁があるため理解しながら距離をとる。
- リハビリテーションに取り組みすぐに結果を求めるのではなく今できることから始めるようにする。
- 失語や麻痺を理解し怒ったり、否定したりしない。
脳梗塞の再発防止に気をつけながらリハビリテーションを行い頑張り過ぎずない事が大切です。脳血管性認知症の方は意識が認知面がしっかりしている事が多いのでより配慮が必要です。「どうしてできないの」「なんで分からないの」などの声かけは本人に多大なストレスがかかるため病状が悪化する恐れも高くなります。1日のうちでも出来る時とできない時がありその辺の配慮もいります。
特に感情失禁がみられる場合があり、病気なので急に怒っていると介助する側は理解することも大切です。介護者も大変ですが、本人とよく話し合いを行い取り入れれるところは取り入れ、あまり本人から無理難題をいわれたらそれはハッキリとできなと答えましょう。
予防について
直接の原因である脳梗塞など脳の血管の病気を防ぐことが大切です。主な原因は動脈硬化と言われています。その原因となる生活習慣病の高血圧、糖尿病、心疾患、脂質異常症などが挙げられます。
生活習慣病の予防として適度な運動、バランスのとれた食事、他者や地域の交流を心掛けましょう。お酒の飲み過ぎ、タバコの吸い過ぎには気をつけましょう。
まとめ
脳血管性認知症は認知症の中で20%〜15%の割合を占めています。原因としては脳の血管がつまって起こる病気ですので生活習慣病に気をつけることが予防につながります。もちろん原因はこれだけではないですがアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は根本の原因は不明ですが脳血管性認知症は脳血管の病気により起こりますので、原因は生活習慣病とハッキリしてるところもあります。なのでできるところから予防に努めてみましょう。
それではこのへんで